いつまでも若々しくありたい!(アンチエイジング)
口の健康とQOL(日常生活の質)の向上を目指しましょう
令和3年の敬老の日を迎えるにあたって、統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-が総務省統計局より発表されました。
総人口が減少する中で、高齢者人口(65歳以上の方)は、3640万人と過去最多で、総人口に占める割合は29.1%と過去最高とのことです。
さて、8020運動はご存知ですか?80歳になっても、自分の歯を20本以上保とうという運動です。平成元年に開始されました。
開始された当初は、8020を達成している高齢者の方は、10人に1人も満たなかったそうです。
その後、平成28年の調査では、75歳~84歳の方の51%が達成されているという結果が出ました。
最近では、この状況を踏まえて、歯の本数だけではなくて口の働きの重要性が注目されています。
「ちょっとした衰えを放置してしまう」とか「適切な治療がなされない」ことにより、
口の機能低下や食べる機能のトラブル、更には心身機能の低下につながることに対して、警鐘が鳴らされています。
ですが、この状態は「健康と機能障害との中間」ですので、早めに気づいて適切な処置をすれば、より健康に近づいていくとされています。
滑舌が悪くなった気がする。食べこぼしをするようになった。食事の時にむせるようになった。硬いものが食べにくくなった・・・・・・など
ほんの些細な、ちょっと調子悪いかな?って思ってしまうような、見逃しやすく気づきにくいために、注意が必要なんです。
当院でのアンチエイジング
- 高齢者の一般歯科診療(虫歯の治療、歯周病治療や義歯を中心とした治療)を行っています。
- 口腔機能低下症の診察を行っています。
口腔機能低下症とは
こんな症状でお困りはありませんか?
- 食べ物が口に残るようになった
- 硬いものが食べにくくなった
- 食事の時間が長くなった
- 食事の時にむせるようになった
- 薬を飲みにくくなった
- 口の中が乾くようになった
- 食べこぼしをするようになった
- 滑舌が悪くなった
- 口の中がよごれている
そこで、この状態をきちんと検査して、治療したり管理をすることが重要になってきます。
50歳以上の方や運動障害のある方などで、お口の機能が少し下がってきた方が対象です。(保険診療の場合)
口腔機能低下症の検査内容について
①
- 口腔衛生状態(舌の表面の汚れ具合)の確認
舌の表面の汚れのことを舌苔(ぜったい)と言います。
鏡で舌をみると、白っぽいものがついていたり、黄色っぽくなっていたりすることがありませんか?
これは、「舌苔」という舌の上に溜まった汚れです。
そのままにしておくと細菌の温床となり、口臭や誤嚥性肺炎の原因の一つとなります。
<<舌苔の付着度を見ることによって、お口の中の清潔度を検査します>>
②
- 口腔乾燥(口の中の乾き具合)の確認
唾液は大切です
唾液の働きには、「虫歯予防」、「消化を助ける」、「口を清潔に保つ」、
「食事を飲み込みやすくする」、「味を感じやすくする」、「抗菌作用」などがあります。
乾燥を防ぐには、お口をよく動かして適切な水分補給が必要です。
--お口の中の水分量を検査します--
「口腔水分計ムーカス」を使用し、計測します。
やり方は、舌を出して2秒間機器を舌に当てます。
③
- 咬合力(歯の本数や噛む力の具合)の確認
噛む力について
噛む力が低下すると柔らかい食べ物を選ぶようになってしまい、栄養が偏りやすくなります。噛みごたえのある食事を摂るためにも、噛む力を維持向上することが重要です。
<<噛む力(咬合力)を測定します>>
残存歯数を数えます。
④
- 舌口唇運動機能(滑舌)の確認
舌と唇の運動機能を確認します。
舌と唇の運動機能が低下すると、滑舌が悪くなるなどの発音の問題や食べこぼしが増える原因となります。
舌や唇の運動機能を向上させて会話を楽しみましょう!
<<口唇・頬・下の動きを検査します>>
「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間発音して、口唇や舌の動きを確認します。
(パパパパパパパパパパパパと5秒間発音します。)
5秒間の合計発音数を計測し、1秒あたりの回数を算出します。
ちなみに、「パ」は口唇の運動機能を調べます。
「タ」は、舌の前方運動の機能を調べます。
「カ」は、舌の後方運動の機能を調べます。
⑤
- 舌圧(舌の力)の確認
舌の役割は、実は重要です。
舌は食べ物を噛み砕いたり飲み込む際、また発音する際にとても重要な役割を持っています。
筋肉の塊でできていて、衰えると痩せて細くなってしまいます。舌を運動して鍛えましょう!
<<舌のちから(舌圧)を測定します>>
口の中に、小さくて硬めの風船を入れそれを約7秒間押しつぶします。
⑥
- 咀嚼機能(咀嚼するちから)の確認
咀嚼機能(そしゃくきのう)とは
食べ物を噛み砕き唾液と混ぜてまとめる機能です。
咀嚼機能が低下すると、消化不良や誤嚥のリスクが高まります。
咀嚼することで、脳が活性化するとの報告もあります。
<<グミゼリーを噛んで咀嚼機能を検査します>>
グミを20秒間よく噛んでから、水を口に含み水と一緒にグミを吐き出します。
吐き出した水に含まれるブドウ糖の量を計測する検査です。
⑦
- 嚥下機能(飲み込む力)の確認
嚥下機能とは
食べ物を飲み込んで胃に送るまでの動作のことを「嚥下」言います。
飲み込みにくさをそのままにしておくと誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
嚥下は、舌、唾液、歯、頬などを使う複合的な動作です。
上部の内容もご確認ください。
<<嚥下機能を調べるために、10問のアンケートにお答えいただきます>>
⑦
- 診断
これからの検査結果を総合し「口腔機能低下症」の診断を行います。
(当日にすべての検査を行います)
保険診療の場合は、50歳以上の方や口腔機能が少し下がってきた方の場合に行えます。
口腔機能低下症と診断された場合には、状況に応じて、歯科治療、口腔清掃指導、お口のトレーニングの指導などを行います。
3ヶ月後、半年後とチェックを行い、お口の働きをより健康に近づけていきましょう.