歯ぎしり・食いしばり――気づかないうちに歯をすり減らしていませんか?

イラスト素材:歯ぎしりうるさいと耳を抑える女性
イラスト素材:歯ぎしりうるさいと耳を抑える女性

朝起きたとき、あごが重い・こわばる感じがしたことはありませんか?
実はそれ、「歯ぎしり」や「食いしばり」が原因かもしれません。
夜間や集中時に無意識に力が入り、歯や筋肉に負担をかけることがあります。

●歯ぎしり・食いしばりとは?

 歯ぎしりは、睡眠中や日中に歯を強くこすり合わせる・噛みしめる癖のこと。
 音が鳴るタイプ(ギリギリ音)だけでなく、「音のしない食いしばり」も多く見られます。
 特に日中、仕事や家事、パソコン作業などで無意識に上下の歯を当てている方が増えています。

 歯は一見とても硬そうですが、実際はちょっとの噛み合わせのズレでも
 大きな力がかかると、歯やあご、筋肉、関節に負担が蓄積していきます。

●こんな症状があれば要注意

・朝起きるとあごやこめかみが疲れている
・ほおの内側に白い線がある(頬粘膜を噛んでいる跡)
・歯の根元がくさび状に欠けている
・歯がしみる(知覚過敏)
・エラの張りや頭痛・肩こりがある
・詰め物がよく外れる

 こうしたサインは、歯ぎしりや食いしばりの「結果」として現れます。
 放置すると歯の摩耗やヒビ、あごの関節の痛み(顎関節症)にもつながることがあります。

●原因は「ストレス」だけではありません

 「歯ぎしり=ストレス」と思われがちですが、実際はそれだけではありません。
 かみ合わせのバランス、姿勢、薬の副作用、鼻詰まりや口呼吸なども関係します。
 また、日中の姿勢(うつむき姿勢・力み)も食いしばりを助長します。

 スマートフォン操作中やパソコン作業時に、
 歯が軽く当たっていないかを一度意識してみてください。

●歯科でできること

ナイトガード(マウスピース)の作製
 就寝時に装着し、歯と歯を直接当てないようにして守ります。
 保険適用で製作でき、違和感も少ないタイプが主流です。

咬合のチェック・調整
 噛み合わせの高さや接触点を確認し、必要に応じて微調整します。

筋肉の緊張緩和・生活指導
 力の抜き方、姿勢、ストレスケアなど、日常でできる対策もご案内します。

●セルフケアのポイント

・ふだんから「上下の歯を離す意識」を持つ
・あごのストレッチを習慣にする
・寝る前に深呼吸や軽いマッサージでリラックス
・カフェイン・アルコールを控えめに
・枕の高さを見直す(高すぎると顎関節に負担)

●まとめ

 歯ぎしり・食いしばりは「癖」ではなく、体のサインでもあります。
 放っておくと、歯の寿命を縮めることにもなりかねません。
 「もしかして…?」と思ったときが、相談のタイミングです。

【よくある質問】

Q1. ナイトガードは毎晩つける必要がありますか?
→ 症状が落ち着くまでは毎晩装着がおすすめです。痛みがなくても再発防止に役立ちます。

Q2. 歯ぎしりの音を家族に指摘されました。治りますか?
→ 完全に止めるのは難しいですが、マウスピースや生活改善で歯へのダメージを抑えられます。

Q3. 保険は使えますか?
→ 保険診療で作製可能です。使用期間は約1年を目安に調整・再作製します。

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