お口の健康が脳を守る?歯周病と認知症の「知られざる関係」

「将来、認知症になったらどうしよう…」 多くの方が漠然と抱える健康への不安。その予防のために、食生活や運動を気にかけている方は多いかもしれません。
しかし、その認知症のリスクが、実は「お口の中」に潜んでいるとしたらどうでしょうか?
一見、何の関係もなさそうに思える「お口のケア」と「脳の健康」。
しかし近年の研究で、歯周病がアルツハイマー型認知症の発症リスクを高める可能性があることが分かってきました。
今回は、私たちの脳を守るために知っておきたい、お口と認知症の深いつながりについて解説します。
歯周病菌が脳に影響?アルツハイマー病との関係
問題となるのは、歯周病を引き起こす細菌(歯周病菌)です。
歯周病が進行すると、歯周病菌が作り出す毒素が歯茎の血管から体内に入り込み、血流に乗って全身を巡ります。
そして、その毒素が脳にまで達すると、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる「アミロイドβ」というタンパク質の蓄積を促してしまうのです。
このアミロイドβが脳に溜まることで、脳の神経細胞が破壊され、認知機能の低下を引き起こすと考えられています。
つまり、お口の中の歯周病を放置することが、気づかないうちに脳の健康を脅かすことに繋がりかねないのです。
「歯の数」が認知症リスクの指標に
歯周病がもたらす最大の問題の一つが、「歯を失うこと」です。
ある研究では、残っている歯が19本以下の方は、20本以上ある方に比べて認知症を発症するリスクが高まるという結果が報告されています。
なぜ歯の数が関係するのでしょうか?
それは、歯を失うことで「噛む」という行為が減ってしまうからです。
噛むことは、顎の筋肉を動かすだけでなく、脳への血流を促し、脳細胞を活性化させる重要な刺激となります。
歯を失い、噛む力が弱まることで、脳への刺激が減ってしまうことも、認知機能の低下に影響すると考えられています。
希望の光:「入れ歯」の活用と日々のケア
「もうすでに歯を何本も失ってしまった…」と不安に思われた方もいるかもしれません。しかし、希望はあります。
研究では、たとえ歯を失ってしまっても、入れ歯(義歯)を適切に使用し、「噛む」機能を補うことで、認知症の発症リスクを抑えられる可能性が示されています。
大切なのは、歯がない状態を放置せず、しっかりと噛める状態を維持することなのです。
そして、最も重要なのは、これ以上歯を失わないための「予防」です。
認知症予防の観点からも、私たちにできる最も効果的なアクションは、歯周病の原因となる歯垢(プラーク)を日々の歯磨きでしっかりと取り除くことです。
今日からできる、脳を守るオーラルケア
- 毎日の丁寧な歯磨き: 歯と歯茎の境目を意識して、歯垢をしっかり除去しましょう。
- デンタルフロスや歯間ブラシの活用: 歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間の汚れを取り除きましょう。
- 定期的な歯科検診: 自分では気づけない歯周病のサインをプロにチェックしてもらい、専門的なクリーニングを受けましょう。
お口の健康は、美味しい食事や楽しい会話のためだけではありません。
あなたの大切な脳の健康、そして未来の自分を守るためにも繋がっています。
今日の歯磨きから、少しだけ意識を変えてみませんか?